症状別の改善法|性器クラミジア

クラミジアとは
クラミジア(性器クラミジア感染症)はセックスで感染する性感染症の1つです。感染しても無症状の場合が多く、症状が出ても軽いので、気づかなかったり軽視されることが多い病気です。
しかし、性感染症の中ではもっとも患者数が多く、症状は軽くても放置すると不妊症になることがあります。また、HIV(エイズ)など他の性感染症にかかるリスクも高くなります。感染している心配がある場合はまず検査を受けることが大切です。感染していることが分れば抗生物質で治療します。
クラミジアの感染者数
<15~29歳では10%前後が感染>
全国に975ある感染症の定点観測機関の報告によると、平成26年度のクラミジアの患者数は24,960人(男性11,936人、女性13,024人)と性感染症の中では第1位で、2位の淋菌感染症の9,805人を大きく上回っています。
平成14年度には定点観測での患者数が4万人を超えて、とくに若い世代へのまん延が懸念されましたが、その後は減少傾向が続いています。しかし、患者を年代別に見ると15歳から29歳までの患者が全体の約8割を占めていて、若い世代が主な感染者であることは変わっていません。
妊婦検診では全体の3〜5%にクラミジア保有者が見つかるので、感染に気づかない人を含めると性交年齢に達した若い女性の10%以上が感染していると推定されています。実際にある高校での調査では、性経験者のうち女性の13%、男性の7%にクラミジアの感染者が見つかったという報告があります。
<なぜ若い世代に感染者が多いのか>
クラミジアの感染者に若い世代が多いのは、性のネットワーク化といわれる現象が関係していると考えられています。女性にも婚前性交のタブー意識がなくなるにつれて、10代から20代前半の男女が、短期間でセックスのパートナーを変えたり、同時に複数のセックスパートナーを持つことがめずらしくなくなりました。
いわゆる元カレ、元カノというセックスパートナーの連鎖が網目状に広がり、ネットワークを形成するようになったのです。そのネットワークに例えば性風俗でクラミジアに感染した男性が1人加わると、比較的短時間のうちに感染者が拡大する可能性があります。
また、若い世代のコンドーム使用率が減ったことと、オーラルセックスがふつうに行なわれるようになったことも関係していると考えられます。
クラミジアの原因と症状
クラミジアは、クラミジア・トラコマティスという細菌に感染することで発症します。乾燥に弱い菌なので感染経路は粘膜と粘膜、あるいは粘膜と体液が接触する性行為のときに限られます。
クラミジア菌は女性はおもに子宮頸管に、男性はおもに尿道に感染しますが、自覚症状がないケースが大半です。
<女性の症状>
最初は子宮入口の子宮頸管に感染して、子宮頸管炎を起こします。しかし、女性の約8割は感染しても症状が出ません。症状が出る場合は、もっとも多いのがおりものが増えることと月経以外の不正出血です。下腹部ににぶい痛みがあることや、性交時に痛みがあることもあります。
症状が軽くても放置すると炎症が内部まで進行して、子宮内膜炎や卵管炎を起こします。卵管炎になると卵管が癒着して重症の不妊症になることがある他、子宮外妊娠のリスクも高くなります。さらに病気が進行すると、骨盤内に病気が進行して腹膜炎などをひき起こすことがあります。
また、クラミジアに感染しているとHIV(エイズ)に感染するリスクが3~5倍になると言われています。
<男性の症状>
男性は最初尿道に感染して尿道炎を起こしますが、感染しても5~6割は症状が出ません。症状が出ても軽く、尿道のむずがゆさなどの違和感、排尿時の軽い痛みなどです。
しかし、放置すると精巣上体に炎症が進行して、痛みがでたり陰嚢が腫れることがあります。重症化すると男性不妊の原因にもなります。
クラミジアの検査
<クラミジアは検査が大切な理由>
妊婦は検診でかならずクラミジアの感染を検査します。クラミジアに感染したまま出産すると産道で赤ちゃんに感染して、新生児クラミジア肺炎を起こすことがあるからです。このように、無症状のケースが多いクラミジアはまず検査することが重要です。
とくに女性は妊娠時の検査の前に不妊症になるおそれがあるので、感染の可能性がある場合は早めに検査を受けることが奨励されます。クラミジアによる卵管癒着が原因の不妊症は治療が大変困難だからです。
では、どのような人が感染の確率が高いのでしょうか。それは先ほど述べた元カレの元カノの元カレという「性のネットワーク」に組み込まれているかどうかです。セックスパートナーを変える頻度が多いほど、同時的なセックスパートの数が多いほどリスクは高くなります。
また、セックスのときにコンドームを使用しない人、オーラルセックスをしている人も感染リスクは高くなります。
<クラミジアの検査>
クラミジアに感染しているかどうかの検査は、性病科もしくは女性は婦人科、男性は泌尿器科で受けることができます。男性は尿を、女性は膣の分泌物を調べます。女性は自分で検体を採取して病院に持っていくこともできます。
性病科に行くのは抵抗がある人が多いでしょうが、スタッフなどの対応が慣れているのでむしろ恥ずかしい思いをすることは少ないようです。
検査費用は病院によって異なりますが、クラミジアだけの検査なら5000円前後が多いようです。症状が出ているときは健康保険が使えますが、出ていない場合は適用されません。エイズ、淋病、梅毒などとセットで検査することもできます。その場合は1~2万円の費用がかかりますが、1つずつ受けるより割安になります。
病院で検査することにどうしても抵抗がある場合は、インターネットで検査キットを購入して自分で調べることもできます。検査キットにも複数の性感染症を同時に調べることができるセットがあります。
クラミジアの治療
クラミジアは抗生物質の内服で治療します。1回の服用で治療が終わるのがアジスロマイシン1000mgです。商品名は「ジスロマック」や安価なジェネリックの「アジー(アジスロマイシン1000mg)」になります。
レボフロキサシン(商品名はクラビット)」、クラリス(商品名はクラリスロマイシン)、ミノサイクリン(商品名はミノマイシン)などは1日1回、1~2週間服用します。
以上のような治療の成功率は約90%といわれています。再検査で血液からクラミジア菌のDNAが発見されなければ治療は成功です。この検査は薬の服用終了後3週間間を空けて行ないます。それ以上早く再検査をすると偽陽性になることがあるからです。
クラミジアの治療でもっとも大切なことは、パートナーと同時に治療を受けることです。片方だけが治療を受けるのはもちろん、治療の時期が異なるといわゆるピンポン感染で再発をくり返すことになります。
クラミジアの予防
感染者が多い病気なので、複数のパートナーと性交渉がある人、あるいはパートナーに自分以外の別のセックスパートナーがいる場合は、クラミジアのリスクを完全に回避することはできません。しかし、次のような注意によってそのリスクを軽減することはできます。
- 性風俗を利用しない。
- 性行為のときは最初からコンドームをする。
- 女性が避妊ピルを服用しているときもコンドームを使用する。
- 多数のパートナーとの性行為をつつしむ。
- セックスパートナーが多い場合は1年に1回程度検査を受ける。
- 検査の結果が陽性だった場合はかならずパートナーにその結果を告げる。
- クラミジアの治療を受ける場合はかならずパートナーといっしょに受ける。